国立西洋美術館「クラーナハ展-500年後の誘惑」感想~思いのほか良かった

2016年10月15日から上野・国立西洋美術館で開催されている企画展「クラーナハ展-500年後の誘惑」にいってきました。

「クラーナハ展-500年後の誘惑」の展示内容と感想、グッズの紹介をします。

また、ルカス・クラーナハとはどんな人物かをまとめましたので、これから見学する人の参考になれば幸いです。

クラーナハ展-500年後の誘惑

「クラーナハ展-500年後の誘惑」の開催場所の国立西洋美術館で、世界文化遺産への登録が決定した場所です。

水曜日の今日はチケット売り場は多少の列ができていましたが、大きな混雑はありませんでした。

クラーナハ展-500年後の誘惑

「クラーナハ展-500年後の誘惑」は国立西洋美術館地下2階で開催されています。

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ルカス・クラーナハとは

謎の人物「クラーナハ」について、簡単に紹介していきます。

  • ルカス・クラーナハ(1472年~1553年)は、ドイツ・ルネサンス時代の人物
  • 同じ名前の息子がいるので、ルカス・クラーナハ(父)と表記される
  • ヴィッテンベルク(ドイツの都市)の宮廷画家として名を馳せた
  • 宗教改革の指導者マルティン・ルターと親交が深かった
  • 筆が速いことで有名で、工房で絵画の大量生産を行う実業家だった
  • 裕福でヴィッテンベルクの市長を務めたこともあった
  • 後にパブロ・ピカソからリスペクトされた
  • 日本においては、明治時代の美術雑誌でクラーナハが紹介されている

約500年前のドイツの都市、ヴィッテンベルクがクラーナハの活躍する舞台になります。

「クラーナハ展-500年後の誘惑」主要人物

「クラーナハ展-500年後の誘惑」を理解するうえで必要な、ルカス・クラーナハ(1472年~1553年)と同時代を生きた主要人物を紹介します。

ザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公

ザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公(1463年~1525年)は、マルティン・ルターを保護しプロテスタントを承認したことで知られています。

1505年、ルカス・クラーナハの腕を見込み、ヴィッテンベルクの宮廷に招いて御用絵師にしました。

マルティン・ルター

マルティン・ルター(1483年~1546年)はドイツ宗教改革の指導者です。

1517年、ルターがヴィッテンベルク市の教会に「95ヶ条の論題」を打ちつけ、宗教改革が始まりました。

クラーナハはルターの肖像画を描きました。

後世に描かれたルターの肖像画は皆、このクラーナハ作のルターの肖像画の顔をもとに描かれているということです。

「クラーナハ展-500年後の誘惑」展示内容について

「クラーナハ展-500年後の誘惑」概要

「クラーナハ展-500年後の誘惑」は、1517年に開始された宗教改革から約500年を数えることを節目として行われる、日本初のルカス・クラーナハ回顧展になります。

「クラーナハ展-500年後の誘惑」ビデオ上映

クラーナハ展-500年後の誘惑

展示室に入る前のスペースで上映されているビデオは必見です。

クラーナハの生涯と、ポスターで使用されている《ホロフェルネスの首を持つユディト》がウィーン美術史美術館で修復される様子が放映されています。

この当時の絵画は薄い木の板の上に描かれているので修復が大変なんだそうです。

「クラーナハ展-500年後の誘惑」音声ガイド

クラーナハ展-500年後の誘惑

音声ガイドでは、阿川佐和子さんがウィーン取材時のお話しをしてくれます。

「クラーナハ展-500年後の誘惑」展示内容

クラーナハ展-500年後の誘惑

「クラーナハ展-500年後の誘惑」では、作品が6つの章に分けて紹介されています。

  • 第1章 蛇の紋章とともに-宮廷画家としてのクラーナハ
  • 第2章 時代の相貌-肖像画家としてのクラーナハ
  • 第3章 グラフィズムの実験-版画家としてのクラーナハ
  • 第4章 時を超えるアンビヴァレンス-裸体表現の諸相
  • 第5章 誘惑する絵-「女のちから」というテーマ系
  • 第6章 宗教改革の「顔」たち-ルターを超えて

個人的に、女性像は当時の流行のスタイルを反映しているのも見どころかと思います。

デコルテを開けチョーカーとネックレスを重ねた首元、胸が小さくハイウエストでお腹がポッコリ膨らんだスタイル等が印象的です。

第4章 時を超えるアンビヴァレンス-裸体表現の諸相

ルカス・クラーナハは、描いた女性のエロティシズムの独特性で名高い画家です。

その、独特のエロティシズムは「冷たい視線」や「冷たい誘惑」と表現されています。

ルカス・クラーナハの描く裸体の女性は、現代女性の美しいとされるプロポーションとはだいぶ異なっていますが、コケティッシュな雰囲気を醸し出しています。

第5章 誘惑する絵-「女のちから」というテーマ系

クラーナハ展-500年後の誘惑

こちらは、《ヘラクレスとオンファレ》。

ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが、女装させられ女性たちにいじられている図です。

ヘラクレスさんの男の沽券はどこに?と問いたくなる作品。

クラーナハ展-500年後の誘惑

《マルティン・ルターの肖像》と《不釣り合いなカップル》。

《不釣り合いなカップル》は「若い女性に指輪をあげて嬉しそうな爺」と「爺の肩に手をまわしつつも目が笑ってない若い女性」の図。

このテーマは、時代と国境を超えるのですね(笑)

「クラーナハ展-500年後の誘惑」のグッズ

クラーナハ展-500年後の誘惑

図録、2600円。

クラーナハ展-500年後の誘惑

ネックレスがプリントされたTシャツ。

クラーナハ展-500年後の誘惑

定番のポストカード。

クラーナハ展-500年後の誘惑

美麗なクリアファイル。

でも、裸体とか生首持ってる絵とか、使用しにくいと思うんですが。

クラーナハ展-500年後の誘惑

シュタイフのティディベア。

クラーナハ展のグッズ売り場は国立西洋美術館入口付近のオープンスペースにあるので、展示を見なくても自由に買い物ができます。

「クラーナハ展-500年後の誘惑」の感想

クラーナハって正直聞いたことなかったし、絵の感じも暗くて退屈そうだなとあまり期待しないで入場した「クラーナハ展-500年後の誘惑」でしたが、思いのほか興味深かったです。

宗教画は色も鮮やかでしたし、何かエキセントリックな雰囲気にじわじわハマってしまう部分がありました。

一人の画家にテーマを絞っている分わかりやすく、深く掘り下げられた美術展だったと思います。

■ 基本情報
  • 名称: 「クラーナハ展-500年後の誘惑」
  • 開催期間: 2016年10月15日(土)~2017年1月15日(日)
  • 開館時間: 午前9時30分~午後5時30分(金曜日:~午後8時)
  • 入館料: 一般1,600円
  • 開催場所: 国立西洋美術館
  • 美術館URL: http://www.nmwa.go.jp/
  • 特設URL: http://www.tbs.co.jp/vienna2016/

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